障害年金がもらえる条件とは。該当する傷病や年金支払いの有無・種類などの観点からくわしく解説

2025年10月30日

障害年金は病気やケガが原因で生活・仕事に支障が出たとき、現役世代を中心に支給される公的社会保障制度です 。年齢に関係なく、病気やケガで経済的な困難に直面した際の生活の柱となる制度です。

しかし「誰が・どんな状態で・どんな手続きで」受け取れるのかの取り決めは複雑で、多くの方が制度の全体像を把握しきれず、受給を諦めてしまう傾向があります。

この記事では、障害年金がもらえる条件について、3つの基本要件(初診日要件、保険料納付要件、障害状態該当要件)から、実際の審査の考え方、そして具体的な等級や支給額まで徹底的に解説します。

障害年金は視覚や肢体といった目に見える障害はもちろん、長期の療養が必要な精神障害(うつ病、発達障害、統合失調症など)や、がん、糖尿病、心疾患などの内部疾患の方まで広く対象になります 。公的年金に加入している全ての国民を守るために設計された年金制度です。

この記事を読み終えるころには、ご自身が障害年金の受給資格を満たしているかどうかの判断基準が明確になり、受給に向けた具体的な一歩を踏み出せるようになります。ぜひ読んで、お役立てください。

30秒でわかる!本コラム記事の概要

  • 1.障害年金の3種類の基本要件(初診日・納付・障害状態)を正確に理解し、ご自身の受給資格の有無が分かります。
  • 2.ご自身の初診日における年金加入状況によって、受給できる障害年金の種類(基礎/厚生)と等級が把握できます。
  • 3.障害等級(1級〜3級)が、日常生活や労働能力の制限度合いに応じてどのように具体的に判定されるかがわかります。
  • 4.症状の変化などによる更新・再支給の仕組みなど、受給後の継続に関する不安を解消できます。
  • 5.複雑な例外規定への対処法を知り、受給可能性を広げるための準備ができます。

目次

障害年金とは?まず制度の全体像をつかもう

日本の公的年金制度は、国民生活の安全を保障するための重要な社会保障制度です。「老齢年金」「遺族年金」「障害年金」という3つの柱で成り立っています。

このうち障害年金は、老後の生活を支える老齢年金とは異なり病気、ケガなどによって仕事や日常生活に制限が生じた際に、生活を経済的に支えることを目的としています 。

  • 公的年金に加入し
  • 保険料納付要件を満たし
  • 障害や疾患の状態が一定の基準を満たしている

方に支給されます。老齢年金のように原則65歳からという支給開始年齢のしばりはなく、公的年金に加入中の人であれば、65歳になる2日前までに申請を行うことで受給資格を得られる可能性があります。

障害年金について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください

対象となる障害や傷病

障害年金が支給される根拠となる病気やケガなどには、特に制限は設けられていません。重要なのは、その障害・傷病が原因となって「仕事や生活が著しく制限を受ける状態」にあるかどうかです。

長期療養を要する内部疾患や精神疾患も広く対象となります。

例えば、がん、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病による合併症、腎臓病による人工透析など、生活の質(QOL)や労働能力に深刻な影響を与える病状も含まれます。精神障害(うつ病や双極性障害、統合失調症、発達障害など)も対象です。

また、障害年金は身体障害者手帳の有無とは関係なく受給可能です。手帳の等級は福祉的な支援の基準であり、年金の支給基準は年金法に基づく等級で判断されるため、手帳を持っていなくても、また手帳の等級が軽くても、年金を受給できる可能性があります。

障害年金の対象となる主な疾患や症状は、以下の通りに分類されます。

■対象となる主な疾患や症状の分類

障害分類 具体例(疾患・症状名) 解説のポイント
精神の障害 統合失調症、うつ病、双極性障害、発達障害、てんかん、認知症、器質性精神障害など 精神・神経の障害は、日常生活能力や就労可能性への影響度で総合的に評価されます。
身体の障害 肢体不自由(手足切断、リウマチ等)、視覚・聴覚障害、人工関節・ペースメーカー装着など 事故によるものや先天性のものなど、原因や発生時期に関わらず受給要件を満たせば対象となります。
内部疾患 がん(悪性新生物)、慢性腎不全(人工透析)、心疾患、呼吸器疾患、糖尿病による合併症、難病など 長期にわたる治療や機能の著しい低下により、労働が困難な状態が対象となります。

障害年金の種類(障害基礎年金/障害厚生年金/障害手当金)

障害年金は、ご自身がどの公的年金制度にどれくらいの期間加入していたかによって、受け取れる年金の種類や受給額が大きく異なります。この違いは、障害の等級や支給額に直結するため、非常に重要です。

障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」、そして一時金である「障害手当金」の3種類があります

これらの構造は下記のとおりです。

障害基礎年金は国民年金の被保険者に支給され、厚生年金の被保険者には併せて、障害厚生年金も支給されます。

障害手当金は、等級に該当しない(軽い)疾患・症状に対して支給される一時金で、こちらも厚生年金の被保険者が支給対象です

受給資格を判断する上で最も重要なのは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師の診察を受けた日(初診日)に、どの年金制度の被保険者であったかという点です。

年金の種類

初診日時点で会社員や公務員として厚生年金に加入していた場合、障害の程度が比較的軽い「3級」でも障害厚生年金を受給する可能性があり、さらに障害の程度が1級または2級であれば、報酬比例の障害厚生年金に加えて、定額の障害基礎年金も併せて受給できます。

つまり、初診日が厚生年金加入期間中に特定できれば、国民年金加入者(障害基礎年金のみ、1・2級のみ対象)と比較して、より手厚い経済的保護を受けられる可能性が高くなります

ご自身がどの種類の年金を受給できるかを確認したところで次は、受給のカギとなる3つの条件についてみていきましょう。

  • 初診日

  • 保険料
    納付状況

  • 障害状態の状況

障害年金の受給資格を得るためには、以下の3要件をすべて満たさなければなりません。この3要件は、申請の可否を決定づける基本中の基本です。

  • 1.初診日要件(いつ、どの制度に加入していたか)
  • 2.保険料納付要件(納付状況は適正だったか)
  • 3.障害状態該当要件(国の定める障害等級に該当するか)

具体的に解説します。

初診日要件:病気・ケガをいつ、医師に診てもらったか

初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診察を受けた日を指します 。この初診日が「いつか」によって、

  • そもそも障害年金がもらえるのか
  • もらえるとしたらどの種類の年金を受け取れるのか

が決まる重要な日といえます。

証明が必要な理由と方法(カルテ・おくすり手帳等)

証明が必要な理由と方法(カルテ・おくすり手帳等)

初診日を特定し、その日が公的年金に加入していた期間中であることを証明するためには、客観的な資料が必須となります。原則として、初診時の医療機関が発行する「受診状況等証明書」(カルテなどに基づく)が必要です

しかし、長期間に及ぶ傷病や病院の廃院、カルテの保存期間満了(原則5年)などにより、証明書が取得できないケースもよくあります。この場合、年金機構は以下の代替資料によって初診日を証明することを認めています。

特に、初診日が厚生年金加入期間中であるという証明は、(給付額が大きい)障害厚生年金の受給権に関わるため、国民年金期間中の初診日よりも厳密な証明が求められる傾向にあります。初診日を正確に特定できない場合は、手持ちの資料から「この期間中に発症している」という初診日を特定していく戦略的な作業が必要になります。この判断を誤ると、本来受給できたはずの障害厚生年金ではなく、給付額が少ない障害基礎年金のみの受給となったり、最悪の場合は不支給となったりするリスクがあるため、慎重な対応が求められます。

初診日に加入していた年金制度によって、受け取れる年金が異なる

初診日に加入していた年金制度によって、以下のように受給できる年金の種類が確定します。

  • 国民年金に加入していた場合: 障害基礎年金(1級・2級のみ)
  • 厚生年金に加入していた場合: 障害基礎年金(1級・2級)+障害厚生年金(1級〜3級+手当金)
  • 年金制度に未加入であった場合: 原則として受給できません。ただし、20歳前に初診日がある場合や、国民年金に加入したことがあり、かつ厚生年金に非加入の人で60歳から64歳までの間に初診日のある傷病等により障害の状態になった場合など、いくつかの例外規定があります。

保険料納付要件:初診日前日時点での納付有無

障害年金は、公的年金制度の被保険者(年金を納めている人)のための制度です。したがって初診日の前日において、年金保険料を適切に納めているかどうかも重要な条件になります。

この納付要件が満たされない場合、その病気やケガを原因とする障害年金は受給できなくなるため、申請前に必ず確認すべき項目です

原則と特例(直近1年要件)

受給資格を得るための保険料納付要件は、以下の原則、または特例のいずれかを満たす必要があります。

1. 原則(3分の2要件)
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間のうち、保険料を納付した期間と正式に免除されていた期間を合わせた期間が3分の2以上であること
ここでいう「免除期間」は、

  • 法定免除
  • 申請免除
  • 学生納付特例
  • 納付猶予

などの手続きを正式に行った期間です。正式な免除申請を行っていれば、納付していたのと同じ扱いを受けることができます。

2. 特例(直近1年要件)
上記の3分の2要件を満たせない人に対する救済措置として、以下の条件をすべて満たす場合、納付要件を満たしたものとされます。

  • 初診日が65歳未満であること。
  • 初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。
  • この特例措置は、令和8年3月31日までに初診日がある場合に限定されます。

なお、20歳前の傷病を原因とする障害年金については、そもそも公的年金の加入義務がない期間であるため、保険料納付要件は問われません。

障害状態該当要件:国が定める障害等級に該当するか

3つの要件の最後は、傷病による障害の程度が、国が定める一定の基準に該当しているかという条件です 。

障害認定日:状態を判断するための基準日

障害年金を受けられるかどうか、またいつから支給されるかという判断は、原則として「障害認定日」における障害の状態によって行われます。

障害認定日の定義には、原則と例外があります。

■原則的な障害認定日

  • 障害の原因となった傷病等の初診日から1年6ヶ月を経過した日。
  • (上記の)1年6ヶ月が経過する前に症状が固定し、治療の効果が見込めない状態となった日

この障害認定日が認められると、申請月の翌月から障害年金の支給が始まります。申請が遅れても、時効により最大5年分を遡っての一括支給(遡及支給)が可能です。。また、この認定日に障害が認められなくても、65歳の誕生日前々日までに症状悪化が認められ、要件に該当するようになれば受給できます(事後重症請求)。

■例外的な障害認定日(1年6ヶ月を待たずに症状固定と見なされる日)

以下の特定の手術や治療が行われた場合は1年6ヶ月を待たずに、その日が障害認定日となります。

  • 人工透析:透析開始から3ヶ月を経過した日
  • 人工骨頭、人工関節のそう入置換:そう入置換した日
  • 心臓ペースメーカー、人工弁の装着:装着日
  • 人工関節:造設日
  • 人工肛門や人工膀胱の増設:造設から6ヶ月を経過した日
  • 手足の切断の場合:切断された日
  • 咽頭全摘出をした日
  • 在宅酸素治療を開始した日
  • 脳梗塞、脳出血等が原因の肢体障害:初診日から6ヶ月以上経過し、医師により「症状固定」と判定された日

この障害認定日を正確に特定し、その日の診断書を取得できるかどうかは、非常に大きなポイントといえます。障害認定日の時点で障害等級に該当していたと認められた場合、最大で過去5年分を遡って年金が一括で支給される「遡及支給」の対象となるためです。

障害年金について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください

障害年金はいくら支給されるのか

障害年金の3つの基本要件がクリアできそうだとしても、

  • 具体的な受給ラインはどの程度なのか?
  • 生活を支えるのに十分な額がもらえるのか?

といった具体的な疑問や不安が残るかと思います。

ここでは、障害等級の具体的な基準を「日常生活や労働への制限度合い」で明確にし、さらに等級と年金種類別の具体的な支給額について説明します。

障害認定日時点での障害状態で判定される

障害年金が支給される障害の程度は「国民年金法施行令」および「厚生年金保険法施行令」によって定められた障害等級に基づいています。等級の判定は、障害の原因となった傷病が日常生活や労働にどれほどの支障をきたしているかを総合的に判断して行われます。

繰り返しますが、この障害等級は、地方自治体が発行する身体障害者手帳の等級とは基準が異なります。

■障害等級の基準と日常生活への影響

等級 法令基準(障害の程度) 日常生活・労働の目安 年金の種類
1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの=他人の助けがなければほぼ、日常生活にかかる動作が不可能な程度 他人の介助がほぼ必須。活動範囲が病院内のベッド周辺(家庭では自室内)に限られる。 基礎/厚生
2級 身体の機能障害あるいは長期安静が必要な症状が、日常生活の著しい制限を受けるか、又は制限を加えることを必要とする程度のもの=他人の介助は必須ではないが日常生活に難がある 労働による収入を得ることが困難。家庭内で軽い活動(簡単な食事作りや洗濯など)はできても、活動範囲が家屋内に限られる。活動範囲は病院では病棟内、家庭では家屋内に限られる 基礎/厚生
3級 労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。 日常生活に支障は少ないが、短時間の軽作業など、労働は大きく制限される 厚生のみ
障害手当金 傷病が治ったもので、労働が制限を受ける(制限を加える必要がある)程度。 厚生のみ

年金・等級別の支給額について

障害年金の支給額は、障害基礎年金(定額)と障害厚生年金(報酬比例)で計算方法が異なります。

等級別・年金種類別の基本支給額(令和7〈2025〉年度現在)

年金の種類 障害等級 年間支給額(基本額)
障害基礎年金(定額。1級は2級の1.25倍。一定条件を満たす子どもがいる場合は加算あり ※加算詳細については後述) 1級 1,039,625 円(昭和31年4月1日以前生まれの方は1,036,625円)
2級 831,700 円(昭和31年4月1日以前生まれの方は829,300円)
障害厚生年金 1級 報酬比例の年金額× 1.25
2級 報酬比例の年金額
3級 報酬比例の年金額(最低保障額623,800円。昭和31年4月1日以前生まれの方は622,000 円)
障害手当金 一時金 報酬比例の年金額×2年分(最低保障額1,247,600円。昭和31年4月1日以前生まれの方は1,244,000円)

※障害厚生年金は、加入期間や平均標準報酬額によって個別に計算されます。報酬比例額が低い場合は最低保障額が適用されます 。

加算制度について

障害年金は受給者家族構成に応じた加算制度が設けられています。

  • 1.子の加算: 1級・2級の障害基礎年金受給者に、18歳到達年度末までの子(または20歳未満で1級・2級の障害等級の子)がいる場合に加算されます。
    〇1人目・2人目:各 239,300円
    〇3人目以降:各 79,800円
  • 2.配偶者の加給年金: 1級・2級の障害厚生年金受給者に、生計を維持する65歳未満の配偶者がいる場合、239,300円が加算されます。(老齢厚生年金とは異なり、特別加算はありません。)

配偶者の加給年金は、障害厚生年金(1級・2級)にのみ適用される制度です。かつて厚生年金に加入していた労働者(第2号被保険者)が、家族を養う義務を負っているケースが多いという制度設計上の配慮が反映されています。

障害年金がもらえる条件を満たしていると分かったら、申請方法やスケジュールの把握を

ご自身が障害年金をもらえる条件を満たしている可能性が高いと分かったら、次は実際に受給するための申請方法と大まかなスケジュールを把握しましょう。障害年金の申請は複雑ですが、手順を追って進めれば確実に受給に近づきます。

障害年金の受給条件を満たしている。申請方法は?

障害年金の受給条件を満たしている。申請方法は?

障害年金の請求手続きは、主に以下の流れで進めます。

1.初診日の確定:受給資格証明の第一歩です。
2.年金保険料の納付確認:初診日確定とあわせて進めるとスムーズです。
3.受診状況等証明書の取得:初診時の医療機関から取得します。
4.病歴・就労状況等申立書の作成:請求者自身が発病から現在に至るまでの病歴・治療経過・日常生活や労働における具体的な制限度合いをくわしく記載して作成します。受給審査の最重要資料です。
5.診断書の取得:主治医に診断書を作成してもらいます。年金機構が定める「障害認定基準」に基づいた内容を記載してもらうよう依頼することが肝要です。
6.年金請求書一式の提出:必要書類を揃え、初診日における加入制度に応じて年金事務所または市区町村役場に提出します。
7.審査・結果通知
診断書作成には数千円から1万円以上の費用がかかりますが、審査の結果不支給または却下となった場合も、これらの費用は原則として戻りません。受給につながる書類を作ってもらえるかどうか、事前にしっかり確認しましょう。

申請からどれくらいで支給される?

申請書類を提出してから年金が支給されるまでには、一定の期間を要します。

標準的なスケジュールは以下の通りです。

  • 審査期間: 書類提出後、日本年金機構による審査を経て年金決定通知書が送付されるまで、通常3〜4ヶ月程度の期間が必要です。
  • 初回受取りまでの期間: 実際に指定口座へ初回年金が振り込まれるまでには、年金証書が送付されてからおおむね50日程度かかります。ただし、複数の年金受給権があるなど調整が必要なケースでは、これ以上かかる場合もあります 。

年金は、原則として受給権を取得した月(障害認定日)の翌月分から支給が開始されます。定期支給は2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月の15日(土日祝の場合は、その直前の営業日)に2ヶ月分ずつ振り込まれます 。

障害年金の受給後について

障害年金は一度受給が決定したあと、ずっと同じ金額が支給され続けるとは限りません。「もらえるかもしれないけど、いったんもらえてまたもらえなくなったりするのか?」「老齢年金がもらえる年齢になったら障害年金はどうなるのか?」といった受給後の継続に関する疑問について、かみくだいて説明します。

認定には「有期認定」と「永久認定」がある

障害年金が決定された後、将来的に症状が改善する可能性を考慮した「有期認定」と、状態が改善されないと認定される「永久認定」のいずれかが適用されます。

もらえる期間が決まっている有期認定

多くの傷病、特に精神疾患や内部疾患など症状が変動する可能性のあるものは、有期認定となります。

  • 更新制: 有期認定では、傷病の種類や状態に応じて、1年〜5年ごとに定期的な審査・更新手続きが必要となります。
  • 手続き: 更新時期が近づくと、日本年金機構から「障害状態確認届」(医師の診断書欄付き)が送付されます。主治医に診断書を作成してもらったうえで必要事項を記入して提出すると、その時点の障害の程度が再判定されます。
  • この再判定の結果、症状が軽減していれば等級が下がったり、支給が停止されたりする可能性があります。逆に症状が悪化していれば、等級が上がり増額される可能性もあります。この確認届を提出しない場合、一時的に支給が停止されます。

有期認定では定期的な診断書の提出が必要になります。日ごろから主治医に対し、日常生活や仕事などの状況を正確に伝え、症状や日常生活への影響を適切に反映した診断書を作成してもらうよう心がけましょう。

更新のない永久認定

  • 永久認定の対象: 肢体切断や人工関節置換、あるいは進行が停止し回復の見込みがない永続的な障害状態と判断された場合に、永久認定が適用されることがあります。
  • 書類提出: 永久認定を受けた場合、原則として定期的な障害状態確認届の提出は不要となります。ただし、年金受給者としての現況届などの書類提出は引き続き必要です。

いったん支給が終わったあと、再支給となるケースも

症状が大幅に改善し日常生活や労働に大きな支障がなくなったと判断された場合、更新手続きの結果「障害等級が非該当」と認定されれば、支給が終了することもあります。

しかし、支給終了後に再び症状が悪化し、障害等級に該当する状態に戻った場合は、改めて申請を行うことで再支給が可能となります。受給権そのものが消滅するわけではないため、体調の変化に合わせて制度を利用し直すことが大切です。

受給中に症状が悪化したら

障害年金の受給中に症状が悪化し、現在の等級よりも障害が重くなったと感じた時は、障害等級を変更するための「額改定請求」を申請できます。この請求により、より重い等級(例:2級から1級)への変更が認められれば、年金額が増額されます。

他の年金(老齢・遺族年金)との満額併給はできない

公的年金制度には「1人1年金」の原則があり、障害年金、老齢年金、遺族年金といった複数種類の年金を満額で同時に受け取ることはできません

例えば、障害年金を受給していた人が65歳になり老齢年金の受給資格も得た場合、障害年金と老齢年金の両方を受給する権利が発生します。このとき、受給者にとって最も有利になる組み合わせを選択して受給する「選択受給」の仕組みが適用されます(例:障害基礎年金と老齢厚生年金)。

障害年金は非課税ですが、老齢年金には税金がかかることもあります。最大限の給付を得られるよう、最適な組み合わせを選択することが重要です。

特例・例外ケースまとめ

障害年金の受給資格を判断する際、標準的なケースには当てはまらない、個別の事情に対応するための特例や例外規定が設けられています。

  • 申請中に会社を退職した:
    障害年金の受給権は「初診日」の年金加入状況に基づいて決まります 3。そのため、初診日が厚生年金加入期間中であった場合、その後、申請中に会社を退職し、厚生年金被保険者資格を喪失したとしても、障害厚生年金の受給資格は失われません。
  • 国外で発症した:
    初診日が海外であっても、その初診日時点で日本国内に住所があり、国民年金制度に任意加入していたなどの特定の条件を満たしている場合、受給資格を得られる可能性があります。
  • 審査中に症状が悪化(事後重症請求):
    障害認定日(原則1年6ヶ月後)の時点では障害等級に該当しなかったが、その後、65歳の誕生日の前々日までの間に症状が悪化し、障害等級に該当する状態になった場合、事後重症請求が可能になります。

事後重症請求は、原則として遡及支給(過去に遡っての一括支給)ができない点が、障害認定日請求と大きく異なります。事後重症請求が認められた場合、年金は請求した月の翌月分からの支給となります。したがって、症状が悪化し等級に該当する見込みが出た場合は、遡及の機会を失わないためにも、可能な限り速やかに請求を行いましょう。

よくある質問(FAQ)

障害年金のよくある質問について、Q&A形式で回答します。

Q1 障害者手帳があれば自動的にもらえますか

A1. 障害者手帳があるからといって、障害年金が自動的に支給されるわけではありません。障害者手帳は福祉的支援のための制度であり、障害年金は年金制度に基づく支給要件(初診日、納付要件、障害認定基準)を満たす必要があります。手帳を持っていなくても年金を受給できるケースは多くありますし、その逆もありえます。

Q2 働いていると受給できないのでしょうか

A2. 働くこと自体が、直ちに障害年金の受給資格を否定するわけではありません。審査において重要視されるのは、仕事の内容、勤務時間、職場で受けている配慮の有無、そして傷病による働くことへの影響が、国の定める障害等級の基準に照らしてどの程度であるかです。等級に該当すれば、就労していても受給は可能です。特に精神疾患や内部疾患においては、就労の実態が審査の重要な判断材料となります。

Q3 年金未納期間があるけど、もらえる可能性は?

A3. 過去の未納期間があっても、受給できる可能性は残されています。まず、ご自身の初診日が65歳未満であり、かつ令和8年3月31日までであるかを確認してください。この条件を満たせば、過去の納付状況に関わらず、初診日前日までの直近1年間に未納がなければ請求が可能です。

Q4 審査にどれくらい時間がかかりますか

A4. 申請書類を年金事務所へ提出した後、年金の決定までは通常3〜4ヶ月程度の審査期間を要します。その後、初回支給までにはさらに約50日程度かかるのが一般的です。書類に不備があったりすると審査が長期化しやすいため、提出前の書類作成は入念に行いましょう。

Q5 申請は自分でもできますか。社会保険労務士に頼むべきでしょうか

A5. 申請手続きをご自身で行うことは可能ですが、障害年金は公的制度の中でも手続きの複雑さが突出しています。特に、

  • 初診日の証明が困難なケース
  • 複数の医療機関を受診しているケース
  • して医師に認定基準に沿った診断書を書いてもらうための調整
  • 日常生活や労働能力の制限状況を伝える病歴・就労状況等申立書の作成

などは、専門知識がないと不支給のリスクが大幅に高まります。受給の可能性を最大限に高め、複雑な手続きによる精神的な負担を軽減するために、障害年金専門の社会保険労務士に依頼することをおすすめします

まとめ「障害年金は、もらえる条件を知って自分に合った申請を」

障害年金は、もしもの時に私たち現役世代の生活を守ってくれる、重要な公的制度です。病気やケガで仕事・生活に大きな支障を負った方々にとって、将来の不安を軽減するための大きな支えとなります。

受給を成功させるためには、

  • 初診日
  • 納付要件
  • 障害状態

の「3つの基本要件」を正確にするところからはじめましょう。

制度を理解すれば「もらえる権利があるかどうか」は判断できます。多くの疾患が対象であり、働くことに制限がある方は受給を諦めなくて大丈夫です。

「もらえる条件を満たしているか分からない」「複雑な初診日の証明や、医師への説明に不安がある」と悩んだり、複雑な書類作成に不安を感じたりしたら、ベストピア社会保険労務士事務所へ、お気軽にご相談ください。

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